通訳案内士になったら、どうやって仕事を得るのか、不安になりませんか?自分は旅行会社の仕事にアサインしてもらえるのか…と。
じつは仕事を得る方法はいろいろあります。ですが、今後おすすめするのは、自分自身でお客さんを直接集客する方法です。
なぜなら、直接集客する方法はフリーランスという働き方を存分に生かせる方法ですし、将来有望な仕事の仕方だからです。
ここでは、通訳案内士の仕事のとり方、そして私がおすすめする直接集客のメリットについてご説明します。
この記事を読み終えれば、これからの通訳案内士はどうやって仕事をとっていくべきか、ご理解いただけると思います。
通訳案内士はフリーランス。働き方は自分で選ぼう
通訳案内士は、基本フリーランスです。どこかの会社と雇用契約を結ぶというのではなく、仕事があるときに働いて報酬を得る、というのが基本スタイル。仕事を得る相手先は、これまでは主に旅行会社からでした。
案内士の仕事は、季節によって繁閑の差が大きいので、旅行会社は仕事の都度、フリーランスのガイドへ業務を発注しています。本当に忙しい時期になると、旅行会社から派遣会社にガイドのソーシングを丸投げするということも行われます。
最近では、マッチングサイトという出会いサイトみたいな仕組みに案内士が登録する方法もあります。他に、ガイドを探しているお客さんを、自分自身のウェブサイトで直接集客する方法があります。
それぞれに特徴がありますが、なによりも先ず、自分に合ったやり方を選ぶことが一番大切でしょう。以下に、説明をしていきます。
通訳案内士の仕事のとり方いろいろ
旅行会社には、すでにベテランの良いガイドさんが多数登録されています。ここに食い込んで登録し、さらに実際に仕事のアサインを受けるというのは、簡単なことではありません。最もスタンダードな方法のため競争も激しいです。
旅行会社は団体のお客様を多く抱えているので、特に団体のお客様を長期間にわたってご一緒して案内をするスタイルを希望している人は、この方法を目指すと良いでしょう。インバウンドが急拡大して、ガイド需要が増えている今は、チャンスだと思います。
旅行会社に登録できず、派遣会社に登録するというのは、極力避けたほうが良いです。なぜなら、まず報酬が安い。旅行会社と派遣会社の2社、中間マージンをとられるため、ガイドの手取りは必然的に少なくなります。また、急な仕事の要請が多いです。ガイドが見つからなかったり、急に代替のガイドが必要になったりした場合が多いためです。明日やってくれとか、自分の生活が犠牲になることが少なくありません。
マッチングサイトの場合は、値段を自分で設定できますが、運営会社に30%程度のマージンをとられます。また、登録ガイド数が数百人単位でいるので、その中からお客に選んでもらうには、大変な努力が必要です。目立つ写真を掲載したり、魅力的な価格設定にしたり… できますか?
そんな中で、以前からよく言われているものの、実際に行っている人がきわめて少ないのが、自分のウェブサイトで集客する方法です。これこそ、私がこれからの通訳案内士がとるべき方法として強く推す仕事の仕方になります。
自分で集客することによる、数々のメリット
今では自分でウェブサイトを構築することは、さほど難しいことではありません。これによって、他の方法では得られない、多くのメリットが得られるのです。主なものだけでも、
- エンドユーザーとの直接取引なので、報酬の中間搾取が無い
- 市場の動向が、手に取るようにわかる
- ブランディングになるので、続ければ続けるほど自分の価値が上がる
が挙げられます。
中間業者が入ることの最大の問題は、お客様の期待とサービス品質との間にギャップが生まれることです。ガイドには、お客様が実際に支払ったガイド料金は知らされません。時にはガイド報酬の倍以上の金額をお客様が払っていることもあるのです。実際のサービス品質が値段に追い付かず、ガイドへの低評価につながります。自分で直接サービス販売をしていれば、このようなことは起こり得ません。
また、直接エンドユーザーとつながっているので、お客様の動きがビビッドに伝わってきます。次の観光シーズンに向けてお客様がいつ動き始めたか、というようなことが簡単にわかります。それによって、広告費を増額したり、取引条件を変更したりといった対応がすばやくできるのです。
そして実は最も重要なことは、自分のウェブサイトで仕事を続ければ続けるほど、自分のブランディングが形成されていくことです。続けていけばいくほど、価値が上がっていくのです。過去のお客様からの紹介が増えていったり、自分のことを知った海外の旅行会社が顧客を紹介したり提携案件を持ってきたりするようになります。他人の名前で仕事をしていると、このようなことにはなりません。
あなたはきっと、フリーランスとして戦略的に業務をしていこうと考えていますよね。であれば、単なる雇われ的な仕事の仕方は避けましょう。自分の価値を上げていくやり方、つまり自分自身のウェブサイトで集客するという方法を強くおすすめします。
他人に依存するビジネスの怖さとは
ビジネスでは、自分の顧客を持っているか否かが、生きるか死ぬかの分かれ道になります。旅行会社から紹介されるお客様は旅行会社の客であって、あなたの客ではないのです。中には、知り合ったお客から直接仕事を受けてはいけない、などとするひどい旅行会社さえあります。
また、プラットホーム依存の仕事は、その運営会社の方針が変更されたり、会社自体がおかしくなった場合に、その影響をモロに受ける羽目になります。
以前Viatorという会社は、個人ガイドを紹介するサイトを運営していました。私も時間をかけてマイページに英語で自己紹介やスケジュールの紹介を掲載していました。ところが数か月後、Viator社の方針変更により、個人ガイドの紹介ページは全て破棄されてしまいました。私の努力は全く無駄に終わったわけです。
また、2023年に、OTOMOという体験型ツアーの会社が突然倒産しました。この会社は倒産発表の前日までガイドの募集をしており、私の周りでも何人もの仲間に報酬が支払われず、泣き寝入りをしています。もしこの会社のツアーを業務の中心にしていたら、どうなっていたでしょうか?
他社に依存する仕事には、こうしたリスクがあるということを、常に肝に銘じておく必要があります。
まとめ
それでは、この記事の内容をまとめます。
- 通訳案内士の仕事のとり方はいくつかあるが、自分に合った方法を選ぶべき
- 旅行会社のアサインを受けるのが一般的だが、これからは自分のサイトで集客することを勧める。
- 自分で集客すると、報酬、情報収集、ブランディングの面でメリットが大きい
- 他人依存のビジネスリスクを、十分認識しておくべき
ということです。
インバウンドが急増し、特に欧米先進国からの個人旅行が増加しています。個人のウェブサイトによる集客は、確実かつ将来性のある方法と言えます。旅行会社だけに頼るという、昭和的な仕事の仕方はもうやめましょう。
自分で集客する、新しい通訳案内士の仕事の方法をメインに、ガイドをしていて気づいたことなどをnoteにまとめています。こちらもご興味あればごらんください。